私立中学と公立中学は、ここが違う
私立中学と公立中学は、ここが違う
お子さんの中学校進学について、私立に行こうか?公立に行こうか?迷う方は多くいらっしゃるかと思います。公立の学費は安いけれど…荒れているみたいで… 公立の中高一貫校というのがあるらしいが、うちの子でも大丈夫かな?などお考えの方が多いのではないでしょうか? 今回は、私立中学、公立中学のメリットデメリットについてご紹介いたします。
目次 |
- 自分にあった学校を選びたい方
- 人生を自分で決めたい方
- 基準が分からない方
1.ここまで違う、学費と設備
ここまで違う、学費と設備
公立と私立の大きな違いは「授業」と「学費」と「施設」とにあります。 最も大きな部分は、「学費」です。
私立は年間で60~100万ほど、「学費」がかかります。公立の学費は、年間で20~30万ほどです。
ここで注意したいのが、「学費」の内訳です。学費とは、「授業料」の事だけを指すのではないからです。
1.授業料が40万
2.施設費が10万、
3.修学旅行積立費で8万
4.部活・通学費で4万
5.塾代 16万
など、学費を考える場合は、総額計算でみる事がポイントです。 授業料は、同じ私立の学校でも、値段が大きく違います。
東京の三田にある慶應中等部は88万円/年。170人の定員に、受験者が殺到している状態です。倍率は5.2倍になっています。
人気のある、私立の中学校は「授業料」が高くても、倍率が高い。と言う現象が起きています。
付属中学・高校は大学にストレートで進学でき、受験勉強に追われなくてよいというメリットがあります。
慶應、早稲田に大学受験なしで入れるメリットは、とても大きく、受験をしない事で生まれる多くの時間を、本当に自分がやりたい事につぎ込む事ができます。
社会の「年号の暗記」などは、受験のための勉強で、社会に出て本当に役に立ちません。
私自身、徳川幕府ができた年号など、お客様に一度も聞かれた事がありません。雑談で上がる事もないので、心の底からくだらない勉強だと思っています。
それはさておき、慶應、早稲田は付属の生徒を積極的に優遇している事をご存知でしょうか??
慶應、早稲田は、附属の学生を大量に大学に入れ、一般入試で入れる生徒の数を、毎年、減らしています。ホームページでも、一般入試の合格者人数を非公開にしていたりします。
(学部の合格者-付属合格者+推薦合格者を計算すれば、一般入試の人数は計算できますが)
詳しくは、「慶應、早稲田大学は指定校と推薦だらけ」をご覧ください。
そんな背景もあり、付属の人気、倍率は近年、うなぎのぼりとなっています。進学校の場合、塾に行く生徒が多いので、塾代も計算して考えておく事をおすすめします。
ちなみに、早稲田中学校は授業料は「約45万」ですが、施設費と教材費などを合わせると年間で「80万」ほどになります。
私立の学費は、40~100万と、学校によって幅があります。
授業料がやすくても、「設備費」や「教材費用」が高い場合があります。学校の公式サイトに記載されていますが、かならず「総額」でみるようにしてください。
総額でみると、大体、60~100万ほどになっています。
【授業について】
私立の中学は、多くは中高一貫校になっています。中高一貫校では、中学と高校の授業を6年間のプログラムで計画的にこなしていきます。
一番の特徴は、「早期学習」「先取り学習」です。公立の中学校は、一番できの悪い生徒に合わせて、集団授業が行われてます。つまり、スピードが遅いわけです。
クラスで一番、頭の良い子は、授業を聞いているようで、聞いていない場合が多いです。なぜなら、「遅すぎる」からです。
一方、中高一貫校は違います。
中学の3年間で、高校の範囲まで勉強をして、高校2年の時点で、高校3年の授業まで終わらせます。
高校3年生の1年間は全て、受験勉強に費やせるわけです。
難関の国立大学に、一般受験で行く場合、「中高一貫校に行くのが、圧倒的に有利」というのが、普通の家の感覚だと思います。 それは、上の図を見ればよくわかります。
高校から勉強するのは、明らかな不利になるのが、今の大学受験なのです。
自分の子が天才で、勉強しなくてもできる場合は、公立のトップ校などに入って、難関国立大学を受験してよいと思います。 しかし、そんな子は0.1%いるか?いないか?のレベルです。
1000人に1人しかいない人の話をしても再現性がありません。
そのため、難関大学を目指す家庭では、小学4年生から塾に入り、完全中高一貫校への進学を目指す事が当たり前になっています。
【合わせて参照】
・学費が最も違う ・私立は設備が充実 ・授業も違う |
2.投資ができるお金が、ここにはある!
投資ができるお金が、ここにはある!
私立の学校を見て感じるのは、公立に比べて、施設が「キレイ」というところです。
私立学校の学費の項目に「設備費」という費用があります。これは、授業料と別に、費用として設定されています。
値段は10~18万円ほどで、かなりの金額です。「設備費」は建物を維持、投資するのに使うお金の事です。
私立の中学校、高校は、ある理由によって、定期的に設備を新しくしています。
上の写真は「開成中学・開成高校」の写真です。
開成では、2024年9月に工事が終わり、第2グラウンドが拡張されました。つい最近の話です。
開成は同窓会のメンバーに総理大臣、財界の重鎮などが多く、同窓会を含めて、なんと13億円の寄付金を集める事に成功。私立にある、「寄付金」というのは、建物を作ったりリニューアルさせるのに利用されています。その寄付金、設備費のおかげで、校舎に投資ができます。説明会などで、新しい校舎を見た生徒は、あまりよく考えず、「この学校に行きたい」となるわけです。見た目、ビジュアルは、いつの時代も、最も大事なのです。
医学部と東大の進学実績がすごい「桜蔭中学校」。東京では、女子の御三家と呼ばれ、東大の合格実績は東京でも5本の指に入ります。
その桜蔭中学でも、建物が新しく更新されています。
桜蔭中学校では、2024年3月に東館の建替え工事をしました。この工事では、普通教室・物理室・化学室・理科講義室・体育館・プール・職員室などを新しくしています。
このように、私立は定期的に工事をしながら、建物を新しくしています。
桜蔭中学校といえば、女子・私立のトップ校。
日本一ともいえる進学実績を出しているにも関わらず、建物に積極投資をしているわけです。
神奈川の公立のトップ校である、「横浜翠嵐高等学校」などは、ごらんの有様です。
もはやビンテージを超えて、ロマンすら感じます。翠嵐高校は、建物の古さと学校までの地獄の坂道は有名な話です。
公立は、どんなにレベルの高いガッコでも予算が回ってこない…というとんでもない事になっているわけです。
これは、社会問題でもあるので、知っておいてください。
【合わせて参照】
・私立トップは設備投資に積極的 ・少子化が原因 ・公立はトップでも古い |
3.特待生という歪んだ市場
特待生という歪んだ市場
これはある学校の合格実績です。高校の偏差値は約55~63前後です。
見てください。難関国立が1人。中堅国立が9人。早稲田以上が36人となっています。
この学校では、中学入試の段階で、「特待コース」があります。特待生になりテストの順位が高いと6年間、授業料が無料となっています。
つまり、大学合格実績と引き換えに、授業料が無料となるわけです。
教育現場で、子供をお金でつるような事が行われて良いのか?と思う人もいるでしょうが、貧困家庭に生まれてしまった頭の良い子にとっては、恩恵でもあります。
この学校で、合格者が多いのは、日本大学が約40人、東洋大学で約30人です。日大の偏差値は45~55なので、この学校の偏差値の平均は「45~55」ほどだと分かります。
つまり、普通科にいくと、日大、東洋レベルの学校までしか受からない。という事です。
「自称進学校」は、このように、「特待生」の生徒をお金で釣り入学させ、偏差値の高い大学に合格してもらい、学校の実績を底上げしています。
下駄を履いているような感じです。
今風に言うと、シークレットブーツを履いて、身長を高くしている。ような感じなのです。
もちろんですが、この学校もスポーツに力を入れています(笑
渋幕方式とも呼べる手法です。
賛否ありますが、これは、資本主義の論理で動く「私立」では当たり前の、生き残り戦略であり、全くを持って、悪い事ではないのです。
だからこそ、偏差値(四谷)が50~55ほどの子をもつ家庭では、学校を選ぶ場合は、慎重になる必要があるわけです。
では、本当の進学校である、完全中高一貫校である、開成中学・開成高校の進学実績を見てみましょう。
東大148人、医学部128人、最も多く合格しているのは、早稲田大学であり192人もの生徒が合格をしています。
つまり、1学年300人のうち、半分以上が早稲田大学に合格しています。
偏差値が55ほどの学校と比べると、圧倒的な実績の差があります。
偏差値が77の学校と、自称進学校では、これだけの差があります。
✳︎中学の偏差値は、サピックスと四谷偏差値があります。
・特待生で実績を稼ぐ ・進学校は強すぎる ・授業レベルは変わらない |
4.どの学校に合格している?
どの学校に合格している?
偏差値が60を超える人は、基本的に「自学自習」が出来る人です。学校の先生の授業など聞かなくても点数が取れます。
そんな生徒を300人集めれば、すごい実績になるわけです。
基本的に、東大や医学部に合格する人は、「鉄力会」という、専門の塾に行っています。
トップレベルの学校で、上位10位に入るような子は、鉄力会の問題集を授業中にやっていたりします。先生も基本的には黙認しています。
このレベルになると、「教え」などいりません。
進学実績を上げる簡単な方法は「良い生徒を集める」。この1点につきます。
これは、学校も塾も同じです。
特待生のある進学塾、特待生のある学校。特待生の制度は、実績を買うために作りだされた制度であり、それ以上でも、それ以下でもありません。
教育は、巨大な産業であり「ビジネス」なのです。
実績をつくるには、特待生を無料で招き、トップレベルの子を集めて、自習室を貸し出し、合格実績を出してもらう。
授業など、はなからいらないのです。
情報をしっかりと集めて分析をしない親ほど、「わが子も、この塾・この学校に入れば早稲田に行けるかも」
と考えてしまいます。
特待生は、市場にゆがみを作りだし、親に淡い幻想を作り出す装置です。
幻から目覚めるには、学校を見るときに、「この学校の生徒は、どこの大学に一番多く合格しているのか?」をよく見てください。
「早稲田なのか?」「日大なのか?」「Fランなのか?」冷静に、慎重に、数値で見てください。
間違っても
「東大が1人いる。東大が出ている学校だ!!」
なんて思わないでください。
あなたのお子様の学力では、東大には行けません。
このように、冷静に分析をすると「学校の本当の実力」が分かるわけです。
私立を受験する場合は、偏差値を見るだけでなく、生徒が「最も多く、合格している大学はどこか?」を見てみましょう。
※特待生の制度は、良い部分もたくさんあります。自称進学校も、面倒見の良い学校もたくさんあります。ぜひ、説明会などに足を運んで、自分の目で確かめて、お子様の学校選びをしてください。
・特待生で実績を稼ぐ ・進学校は強すぎる ・授業レベルは変わらない |
5.特待生×スポーツが、なぜ有効なのか
特待生×スポーツが、なぜ有効なのか
そもそも、偏差値55程度の私立は「自称進学校」と呼ばれます。
ネットを検索すると、良く出てくる言葉です。偏差値50~55ほどの学校が生徒から「自称進学校」と呼ばれています。
「自称進学校」の特徴は、特待生を集めて、授業料を無料にして、彼らに国立、難関私立を受験させて、合格実績をつくる。
それを広告して、生徒を集める。という事をします。さらに、強い「部活」をつくり、知名度を上げます。
千葉県にある「渋谷教育学園幕張中学校」は東京大学など国内の一流大学のみならず、ハーバード大学など欧米のトップスクールに進む生徒が増えている進学校ですが。
「自称進学校」から「特待生×スポーツ」という、シンプルかつ、基本的な戦略で、学校を進学校まで引き上げていきました。
(今回は田村哲夫理事長の剛腕については割愛します)
田中マルクス闘莉王(たなか・まるくす・とぅーりお)選手は、サッカーで「渋幕」を有名にした選手でもあります。2000年、第79回の選手権に出場しています。
高校3年生の時に、大型MFとしてチームを初の全国大会へと導いた立役者です。2006年、浦和レッズ時代にはJリーグでMVPも取っています。特待生で優秀な生徒を集め、良い授業をして、スポーツ(サッカー)で知名度を上げる。
お手本のような学校が、「渋幕」です。
私立の中堅校を進学校にするには、「特待生」(勉強での実績)×「スポーツ」(知名度)がとても有効なわけです。
しかし、時代は変わり、今は少子高齢化です。
学生の数は年々減っており、2024年の高校1年生の数は290万人。ピークであった、1989年の564万人から比べると、およそ半分になっています。
しかし、学校の数は減っていません。
今の時代は、実績、知名度のほかに、「設備」、「授業」、「制服のかわいさ」「立地」などが大事になってきました。
大学も都心回帰をしており、地方の国立大学は人が集まらない…という状況になっています。
学校は立地は変える事ができません。授業は、授業を受けてみないと、分かりません。すると、外見上、とても分かりやすい「設備」にお金をかけるのは必然となるわけです。
私立が設備にお金をかけるのは、このような理由があるからといえます。
「公立中学と私立中学の違いは」次回に続きます>>
【参照】
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